モロボシ・ダン
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モロボシ・ダンは特撮番組『ウルトラセブン』に登場する架空の人物。漢字表記は「諸星団(一説によれば諸星弾)」であるが、本編では使われていない。森次浩司(現:森次晃嗣)が演じた。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] ウルトラセブンでのモロボシ・ダン
ウルトラ警備隊の隊員で、その正体は恒点観測員340号ことウルトラセブンである。薩摩次郎(演:森次晃嗣)という青年の勇敢な行為に感動し、地球人に変身する際に彼の姿と魂をモデルにした。第1話においてウルトラ警備隊のメンバーたちの前に登場し、以後隊員として勤務する。ほかの隊員たちとも打ち解け、とくに警備隊の紅一点友里アンヌ隊員とは次第にいい仲になっていった。ピンチの時にはウルトラセブンに変身するため、ダンの姿は見えなくなり、たびたび仲間たちを心配させるが、その度生還を果たしていた。
宇宙人や怪獣と戦い続け地球を守ってきたダンだったが、第48話で、過労がたたりエネルギーが底をついてしまい、怪獣パンドンの前に苦戦をする。なんとかパンドンを退けたものの、ダンの体は命が危険になるまでに悪化し、ついで第49話(最終回)において、自らの正体をアンヌに告白し、再び出現したパンドンを倒して故郷M78星雲へ去っていった。なお、ダンが正体を告白するシーンはウルトラシリーズでもきっての名シーンと言われている。 ちなみに、ウルトラセブン本放映当時は、その年代設定は1987年(放映が開始された1967年から数えて丁度20年後)ということになっていたが、当時の設定は本編中においても時代背景がしっちゃかめっちゃかになる事も少なくなく、実質的には年代設定は明確には断定出来ない。その後ウルトラマンレオの年代設定は放映当時とほぼ同時期と推定されるため、少なくともウルトラマンレオと繋がる時間軸として見る場合は、当初の1987年という年代設定は、設定のみの時代背景とみなされることになる。
[編集] ウルトラマンレオでのモロボシ・ダン
本作では宇宙パトロール隊MACの隊長として登場したが、マグマ星人らとの戦いで右脚を折られてしまうなど大きな怪我を負い、しかもセブンの姿に戻る能力を失った(セブンに対するレオの依存心を断ち切るために自ら変身能力を放棄したとの解釈もある)。そこでピンチを救援してくれたウルトラマンレオ(=おゝとりゲン)に地球の守りを託し、自らは戦士ではないレオを鍛えつつ援護に専念する役割を担う。
劇中ではウルトラ警備隊の隊員であった頃とは打って変わって厳格な指導者としての面が強調されており、かつその一方では常に愛弟子レオ=ゲンの身を案じてもいて、彼の勝利を一番に喜び、そして彼の人間的成長を我が事の様に思っていた。とはいえ、視聴者から見れば特訓の内容は時としてレオ=ゲンを殺しかねない過酷極まりない(ダン自身すらゲンに過酷な試練を課す自分に、時にやりきれなさを感じるシーンが見られる)ものであり、これはその温厚な人柄が印象的だった『ウルトラセブン』におけるモロボシ・ダンのキャラクターイメージを壊すものとして「子供が怖がる」「本当に同一人物なのか?」等の視聴者の酷評を受け、途中で路線転換する原因ともなった。また、一部の評論家からは「モロボシ・ダンのキャラクターを活かせなかった作品」とも評された。また、『レオ』でのダンしか知らなかった世代の視聴者の中には、後年『セブン』を再放送で初めて観て、ダンが元々温厚な人物だった事に驚いた人もいたという。
第40話で、MAC基地が円盤生物シルバーブルーメの奇襲を受けた際に行方不明となり、劇中では特に生存しているとは明示されなかった。劇中でゲンもダンは死んだものとして行動している。しかし最終回でゲンの夢にセブンの姿で登場したり(ゲンにテレパシーを送ったとの説もある)、雑誌設定等で生存していると記述されたりしていること、レオと時間軸の繋がっている『ウルトラマン80』の第44話で、少年の怨念から生まれた「妄想ウルトラセブン」を見た80の反応が、死者の復活を驚いたり行方不明者との再会を喜ぶ様子ではなかった事などから、ファンの間では生存説も根強かった。
その後、映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』の関連資料で基地から宇宙空間に脱出した後、ウルトラの母に救われた事が判明している。
『レオ』においてはウルトラ念力の多用により寿命を著しく縮めている他、脚も不自由になり、人間としての姿でもマックガンの暴発による瀕死の重傷を負うなどかなり体を痛めているが、その後のシリーズにおいてこれらの影響は不明。『メビウス』における健闘を見る限り、治癒した脚以外にも少なくとも身体的な問題は特にないと見られる。
[編集] 秘話
そもそもレオの企画当初、MAC隊長は「川上鉄太郎」という名前の地球人であり、ゲンの正体を知った川上がゲン=レオを鍛え、そして協力するという設定で、製作側では当初から川上役には森次を起用する予定だった。森次はこれより前、『美しきチャレンジャー』(TBS系・1971年)で厳格なコーチ役を演じており、制作側にはそのイメージがあったものと思われる。
しかし、森次はウルトラシリーズでダン以外の役を演じる事に異を唱え、出演を逡巡したために、どうしても森次を起用したかった制作側は隊長をダンに変更し、物語の進行設定を変更したという。森次は後年、結果的にダンのキャラクターが変質した事に違和感を感じたのか、「レオのダン隊長は無かった事にしたい」とも発言している。
[編集] 平成ウルトラセブンでのモロボシ・ダン
その後、平成ウルトラセブンシリーズでもテレビスペシャル版2作目『ウルトラセブン 地球星人の大地』から登場。かつての同僚フルハシ・シゲルと再会を果たした。このシリーズでも活躍し健在ぶりを示しているが、『ウルトラマンレオ』とは時間軸が異なるため、それぞれがパラレルワールド的な存在となっている。
なお、平成シリーズ後半のセブンはモロボシ・ダンとしてよりカザモリ・マサキとして登場することが多くなっていた。
[編集] ウルトラマンメビウスでのモロボシ・ダン
劇場版『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』に登場。
『ウルトラマンメビウス』の時代より20年前(『メビウス』自体は『80』から四半世紀後が舞台である)、セブンは初代マン、ジャック、エースと共に究極超獣Uキラーザウルスと戦い、エネルギーの大半を失うのと引き換えに神戸沖(のちに神戸空港が建設される場所の近く)に封印した。その後、消耗して変身できなくなった彼はダンの姿のまま神戸近郊の牧場で働きながら、兄弟共々Uキラーザウルスの封印を監視し続けていた。
なお、映画で着用していたブルゾンにはウルトラ警備隊のエンブレムがついているが、MACのエンブレムはついていない。
[編集] ゲスト出演
- 『帰ってきたウルトラマン』第38話「ウルトラの星光る時」に登場。
- 『ウルトラマンタロウ』第33話「ウルトラの国大爆発5秒前!」、第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」に登場。