モシリュウ
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モシリュウ(茂師竜)は、1978年に岩手県岩泉町のモシ(茂師)で発見された恐竜の化石。発見されたのは、竜脚類の上腕骨(じょうわんこつ)の一部であるとされる。
日本では1934年に、樺太(現在ロシア連邦が実効支配する南サハリン)からニッポノサウルスが発見されていたが、その後日本国内では恐竜化石は発見されず、九州で哺乳類の化石をカモノハシ恐竜と誤認した例や、北海道でモササウルスの化石を肉食恐竜と誤認した例があるばかりであった。 このため日本では恐竜化石は発見できないものと考えられてきた。モシリュウは日本本土で発見された化石としては初めて恐竜と確認された化石となり、この発見により日本でも恐竜化石が発見されることが認められ、その後の全国各地での恐竜化石発見のきっかけとなった。
モシリュウが発見された地層は、白亜紀前期に形成された宮古層群であり、浅海から淡水域にかけて堆積した地層である。この宮古層群の軟体動物化石の研究を行ってきた東京大学理学部教授(当時)と、調査に同行した国立科学博物館研究員の二人が発見者となった。 発見後、化石展のために日本に持ち込まれていた中国のマメンチサウルスと比較した結果、近縁であるとされ、当時マメンチサウルスが分類されていたディプロドクス科に、モシリュウも長らく分類されていた。ところが、その後の研究の結果マメンチサウルスは首が長いという共通点はあるものの、ディプロドクス科ではないことが判明した。さらにマメンチサウルスはジュラ紀中期の恐竜でありモシリュウが発見された地層の年代(白亜紀)と合わない。また、モシリュウの化石はあまりに保存状態がひどく、詳細な分類上の特徴を有しないなどの理由から現在では所属不明の竜脚類とされている。化石のレプリカが 岩手県立博物館博物館に展示されている。
[編集] 参考文献
- 長谷川善和、伊地知英信『日本にも恐竜がいた』どうぶつ社、1990。
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