ホッチキス
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ホッチキス は、紙に「コ」の字形の針を刺し通し、針先の部分を両側から平らに曲げて、紙を綴じる道具である。英語の一般名詞としては通常、ステープラー(Stapler)と呼ばれる(JIS規格上の名称は「ステープラ」)。
現在、日本ではマックス株式会社の製品が市場の多数を占めている。
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[編集] 名称
ホッチキスの名は、発明者とされるベンジャミン・バークリー・ホッチキスの弟が起こしたアメリカのホッチキス製造会社であるE.H.ホッチキス社(E.H.Hotchkiss)の製品を日本で伊藤喜商店(現、株式会社イトーキ)が「ホチキス自動紙綴器」として明治中期から販売したことに由来する。(商標については後述)
[編集] 針の呼び方
針はしん、はり、たまなどと特に決まった読み方はなく、マックス株式会社もそのFAQでこれを認めているが、同社では一貫してはりと読むとの方針を示している。
なお、JIS規格上の名称は「ステープラ用つづり針」である。
[編集] 種類
ホッチキスは使用する針の大きさによって大きく3種類に分けられる。また特殊用途向けのホッチキスも存在する。
[編集] 小型
- 10号と呼ばれる大きさの針を使用するもの。コピー用紙を20枚程度まで綴じることができる。
- 一般にホッチキスと言えば、小型ホッチキスのことを指す。
[編集] 中型
- 3号、または35号と呼ばれる大きさの針を使用するもの。コピー用紙を30枚程度まで綴じることができる。
- 3号は日本のJIS規格、35号は米国や欧州で主に使用されている針である。どちらも使えるホッチキスもあるが、針の太さが異なるため、一方の針のみ使えると考えた方がよい。
- 通常の3号針は針の長さが6mmだが、10mm針と呼ばれる針の長さが10mmのものも存在する。これを使用すると、コピー用紙を75枚程度まで綴じることができるが、使用できるホッチキスは限られているので注意が必要である。
[編集] 大型
- 1号、または12号と呼ばれる大きさの針を使用するもの。コピー用紙を綴じられる枚数は針の種類によって異なるが、50枚~250枚程度である。
- このクラスになると、薄いものが綴じられなくなる(折り曲げた針が長すぎて、紙を下から突き破ってしまう)ので、製品仕様の最低綴じ枚数に注意しなければならない。
- 12号針の名前は、針の長さを表している。たとえば1210針は12号で針の長さが10mm、1217針は12号で針の長さが17mmのものである。
[編集] 特殊用途
- 本体を開いた状態で壁などに針を打つ使い方ができるもの。これに特化したホッチキスは「タッカー」と呼ばれる。更に開閉機構を持たず、グリップとトリガーを装備したタイプは「ガンタッカー」と呼ばれる。
- 中綴じ製本のために、針と支点の距離を長くとったもの(中綴じ用ホッチキス)。
- 通常使用と中綴じ用との両方に使用できるように、針を打つ部分だけを90度単位で回転できるもの(回転角度が自由なものもある)。
- モーター駆動により半自動的に綴じるもの(電子式と呼ばれることが多い)。
- コピー機の内部にあって、コピーされた紙を自動的に綴じるもの(オートステープラ)。
- ダンボール箱の梱包に使用するもの(手動式、電動式)。
[編集] 綴じ方の違い
- 通常のホッチキスは綴じたときの針の形が「めがね型」になるため、書類を何束も重ねると厚みが生じ、収納しにくい問題がある。フラットクリンチ型と呼ばれる製品を使用すると、針の裏側が平らに綴じられるため、書類の厚みを少なくできる。
- 仮綴じ用に、針を外側に曲げる綴じ方ができるものもある。
[編集] 商標
「ホッチキス」は、明治時代からイトーキの登録商標であったが、現在では一般名詞化したため、文房具分野での「ホッチキス」という商標は失効している。2006年4月現在登録されている「ホッチキス」の商標は以下の通り。
- 登録第4343797号 キヤノン株式会社(理化学分野限定)
- 登録第4766203号 マックス株式会社 (医療器具限定)
[編集] 外部リンク
- イトーキ史料館 ホッチキスの話
- マックス株式会社
- ホッチキス物語 (マックス株式会社の記事)
- ホッチキスの歴史
- ホチキスの「金具」の呼び名 (NHK)
- ホッチキッス式機関銃の弾丸を送り出す技術を利用して作られた。
[編集] 関連項目
- タッカー
- ホッチキス式機関銃