プロアクションリプレイ
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プロアクションリプレイは、イギリスのデイテル社が製造・販売しているコンピュータゲームの改造ツール(チートプログラム)シリーズである。
通称は頭文字(Pro Action Replay)をとって「PAR(ぱー)」、「アクションリプレイ」、「アクリプ」、「プロアク」など。なお、製品名に「プロ」が付くのは日本特有であり、欧米では「Action Replay」が製品名。
日本では長年、サイバーガジェット(旧カラット)が総代理店に指定されていたが、デイテルが2006年7月に日本法人であるデイテル・ジャパンを設立したことに伴い、現在は販売元が移っている。
現在、PSPやXbox 360といった最新機種を除いたほぼ全てのゲーム機向けに、「プロアクションリプレイ」が発売されている。
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[編集] 概要
ゲーム機のメモリを外部から強制的に書き換えることで、「お金」や「ヒットポイント」などのゲーム内パラメータを任意の値に操作するほか、例えばガンアクションゲームでは残弾数の値を固定することで無限に弾を撃てるようにしたり、開発中でボツになったステージやデバック用のマップなどゲーム本編で使用されていないリソースへのアクセスを可能にする。
ゲーム内のメモリを簡易に操作するために、16進数の「秘技コード(改造コード)」と呼ばれるものが利用されている。これはメモリの操作対象アドレス値と書き換え後の値がセットになっているもので、これによりゲーム機やプログラムの構造などについて理解が無くとも容易にゲーム改造が行えるようになっている。秘技コードは雑誌や書籍、ウェブサイトなどで入手することができる。
その他、メディアプレイヤーやプロアクションリプレイ単独によるコードサーチ機能などを備えたものもある。
元は英国の周辺機器メーカー、Datel社によって開発・発売されている「Action Replay」であり、それを日本国内向けにローカライズ及び調整されたものが「プロアクションリプレイ」である。プロアクションリプレイのほかにも、同様の機能を持った製品は多数存在するが、最も有力な対抗馬にエックスターミネーター(X-TERMINATOR)がある(日本国内ではゲームテックが発売)。
[編集] 使用法
カセットを用いるハードでは、カセットをプロアクションリプレイに直接差し込んで使用する。ディスク媒体のハードでは、「ドングル」と呼ばれるものや専用のメモリーカードを差し込んだうえで、ゲームソフトのディスクと入れ替えて使用する形になっている。
また、パソコンと連動することで、音楽を楽しめたり、パソコンから直接コード入力ができるものもある。さらにPS2版プロアクションリプレイのVer3.00以降ではセーブデータをパソコンにバックアップしたり、好きな画像や音楽を取り込んで壁紙やBGMにするといった事も可能になっている。
[編集] 秘技コード
秘技コードは、アクションネットでユーザー登録を行うことで、「秘技コード掲示板」でも得ることができるほか、サイバーガジェットの関連会社であるブレイン・ストームより、秘技コードを掲載した『隔月刊アクションリプレイ』が刊行されている。個人ユーザーによる解析も行われており、インターネット上には秘技コードの公開を行うサイトが多数存在する。
[編集] プロアクションリプレイの扱い
[編集] ハードメーカー
任天堂やSCEなどのハードメーカーは認めておらず、こうした商品に対してライセンス提供は行っていない。 プロアクションリプレイはハードメーカー非公認の機器である。
[編集] ゲームショップ
上記の通り、ノンライセンシーな周辺機器であるものの、ゲーム専門店やゲームを扱っている家電量販店では普通に販売されていることが多い。
[編集] ソフトメーカー
一部のゲームソフトには改造対策が行われているものがある。
スクウェア・エニックスのPS版ドラゴンクエストIV 導かれし者たちにおいて改造行為を行っているとみなされると、主人公の称号が「改造コードの星」「うらわざ改造王」に強制的に変更される。アトラスのペルソナ3では登場キャラクターたちに改造行為を咎められる。これらは実害はない対策であるが、例えば任天堂のポケットモンスターシリーズのように実効力のある対策を行い、説明書にも改造行為に対する警告文を掲載しているケースもある。また、メタルギアソリッド3では改造対策が厳重に施されている。
しかし現状では完全なチート対策は不可能なために、秘技コードが出回っているのが実情である。
[編集] ACCS
コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)では、DOA事件を根拠にプロアクションリプレイが違法であると主張している。
[編集] 改造行為に対する賛否両論
上記の通り、ハードメーカーやソフトメーカーの多くはプロアクションリプレイを快く思っていないと考えられる。
しかしゲームを遊ぶ時間を充分に取れない社会人ゲーマーらにとって便利なツールであるとされる。ゲームの大作化が進んでいることもあり、例えば長大巨編化の著しいロールプレイングゲームにおいてストーリーやエンディングのみを効率良く楽しんだり、難易度の高いアクションゲームなどでも時間を掛けることなくクリアすることができる。ただしそうした遊び方に対しては批判も存在する。ほかにも物語上死亡したキャラクターをパーティーメンバーに加えて、ゲーム本編ではありえない状況を作り出すといった改造の楽しみ方がある。
また、ソフトメーカーにおいても必ずしも改造行為を疎ましいと思っているということもなく、コナミのPS2版イース -ナピシュテムの匣-のチートモードのように、裏技として改造と等価の機能が搭載されている例もある。その他にもスクウェア・エニックスのチョコボの不思議なダンジョンにおまけとして付属していた不思議なデータディスクのように、パーティーメンバー全員が初めから最高レベルなどの特殊なセーブデータを配布するケースもある。
[編集] オンラインゲームでの改造行為
ブレインストームは隔月刊アクションリプレイにおいて「不正防止のため、そのゲームのオンラインモードにおいて影響が出る可能性のある改造コードは公開しない」と公言している。しかし個人でコードの解析をしたプレイヤーによって秘技コードが出回るなどし、改造行為が行われるケースも後を絶たない。
例えば、セガの多人数参加型ロールプレイングゲームであるファンタシースターオンラインでは、解析されたデータや複製されたレアアイテムがばら撒かれたことにより、ゲームの寿命を縮めるという出来事があった。コナミのグラディウスVでは景品付きのインターネットランキングにおいて、改造行為に手を出したと思われるスコアラーが上位に入賞したために騒動となった。そのほかにもPS版ザナックにおいてもインターネットランキングにおいて、通常のプレイでは不可能な999999999点というスコアが掲載された事を受け、販売元のコンパイル(現在は倒産)はランキング上位入賞者にゲームプレイの動画またはビデオを提出するよう義務づけるようになるという事件もあった。
一方、スクウェア・エニックスのファイナルファンタジー11など、改造対策のためにキャラクターデータをサーバー上で管理しているゲームもあり、こうしたゲームにおいてはプロアクションリプレイによる不正行為は難しいとされる。