ブレーメン形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブレーメン形 (Typ Bremen) はMAN GHHが1990年に試作車を発表し、1993年より量産を開始した低床路面電車である。左右独立車輪の採用により台車部分の低床化を実現し、世界初の100%低床路面電車といわれている。製造会社が幾度も変わっており、現在はボンバルディアが製造している。メーカから正式な愛称を与えられていないため、最初に投入された都市ブレーメンにちなんだ Typ Bremen 以外に、製造会社にちなんだ Typ MAN/AEG、Typ AEG などいくつかの呼び方がある。日本では車両形式名からGTシリーズと呼ばれることもあるが、GTはGelenkTriebwagen(連接の自走可能車)の意味で、他のメーカの車両にも広く使われているので注意を要する。
製造会社の変遷
- 1990 MAN Gutehoffnungshutte Schienenverkehrstechnik AG
- 1993 AEG Schienenfahrzeuge Nahverkehr & Wagen GmbH (車体の製造・組み立てはLHBが担当)
- 1996 AEG Daimler-Benz AG (Adtranz)
- 1999 ADtranz DaimlerChrysler Rail Systems GmbH
- 2001 Bombardier
目次 |
[編集] 基本仕様
全ての車体に2軸台車をひとつづつ装備した連接構造をとり、フローティング車体は使用していない。2車体連接から4車体連接までの製造実績がある。上記の通り左右独立車輪の採用により台車部分の低床化を図ったのが特徴で、この部分の床面高さは360(一部車両は350)mm、ドア付近では300mmとなっている。各車体の中央に台車を持つため、客用扉は各車体の側面に向かって左側に寄せて取り付けられており、一方の先頭車体のみ2扉となっている。扉は両開きのプラグドアである。主電動機は各車体に1台ずつ装荷しており、継ぎ手を介して車軸を駆動している(車体装架カルダン駆動方式)。
[編集] 車両形式
メーカの車両形式は以下の法則にしたがって定められている。
例) GT4N-ZR (熊本市交通局9700形電車のメーカ形式)
- GT : GlenkTriebwagen (連接の自走可能車)
- 4 : 車軸数、2車体連接なら4、3車体連接なら6、4車体連接なら8となる。
- N : 軌間、Nは標準軌 (Normalspur)、Sは狭軌(Schmalspur)、Mはメーターゲージ (Meterspur)、軌間1067mmの場合もMとなる。
- -ZR : 2方向運転可能(Zweirichtung)な車両。両運転台で、両側面に客用扉を持つ。
[編集] 諸元
以下の諸元は過去の実績に基づく標準的な数値。
- 車体幅 : 2300mm / 2350mm /2400m
- 全長
- 先頭部車体 : 8950mm / 9100mm / 9250mm
- 中間車体 : 8600mm
- 車体高 : 3290mm
- 床面高さ : 360mm(ドア付近300mm)
- ドア
- 幅 : 1250mm
- ドア高さ : 1850 / 2000mm
- 軌間 : 1000mm / 1067mm / 1435mm
- 架線電圧 : 600V / 750V
- 最高速度 : 70km/h
- 主電動機
- 定格出力 : 80kW / 84kW / 100kW / 120kW
[編集] 導入都市
[編集] ブレーメン
- 投入開始 : 1990年 (GT6N試作車) / 1993年 (GT8N)
- 形式 (車番) : GT6N試作車 (801) / GT8N (3001 - 3078)
[編集] ミュンヘン
- 投入開始 : 1990年 (GT6N試作車) / 1993年 (GT8N)
- 形式 (運営主体による形式、車番) : GT6N試作車 (R1.1、2701 - 2703) / GT6N (R2.2、2101 - 2170) / GT8N-2 (R3.3、2201 - 2220)
[編集] アウグスブルク
- 投入開始 : 1993年 (GT6M試作車) / 1996年 (GT6M)
- 形式 (車番) : GT6M試作車 (601) / GT6M (602 - 611)
[編集] ツヴィッカウ
- 投入開始 : 1993年
- 形式 (車番) : GT6M (901 - 912)
[編集] ベルリン
- 投入開始 : 1994年 (GT6N) / 1999年 (GT6N-ZR)
- 形式 (車番) : GT6N (1001 - 1105) / GT6N-ZR (2001 - 2045)
- LCDによる側面行先案内装置を完備。
[編集] フランクフルト(オーダー)
- 投入開始 : 1994年
- 形式 (車番) : GT6M (301 - 308)
[編集] ニュルンベルク
- 投入開始 : 1995年 (GT6N) / 1998年 (GT8N-2)
- 形式 (車番) : GT6N (1001 - 1014) / GT8N-2 (1101 - 1126)
[編集] ブラウンシュヴァイク
- 投入開始 : 1995年
- 形式 (車番) : GT6S (9551 - 9562)
- 軌間 : 1100mm
[編集] イェーナ
- 投入開始 : 1995年
- 形式 (車番) : GT6M-ZR (601 - 633)
[編集] マインツ
- 投入開始 : 1996年
- 形式 (車番) : GT6M-ZR (201 - 216)
[編集] 熊本
- 投入開始 : 1997年
- 形式 (車番) : GT4N-ZR (9701 - 9705)
- 熊本市交通局9700形電車も参照
[編集] 岡山
- 投入開始 : 2002年
- 形式 (車番) : GT4M-ZR (9201)
- インケントロに準じた車体を採用。
- 岡山電気軌道9200形電車も参照
[編集] 高岡
- 投入開始 : 2004年
- 形式 (車番) : GT4M-ZR (MLRV1001)
- インケントロに準じた車体を採用。
- 万葉線MLRV1000形電車も参照
[編集] 富山
- 投入開始 : 2006年
- 形式 (車番) : GT4M-ZR (TLR0601-0607)
- インケントロに準じた車体を採用。
- 富山ライトレールTLR0600形電車も参照