バレットM82
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バレット M82 (Barrett M82) はヘリや装甲車などを攻撃する為に開発された、12.7mm重機関銃M2に使われている12.7mm×99の弾丸を発射する大型狙撃銃である。対戦車ライフルと間違われる場合もあるが、正確には異なる。対物用ではあるが、対人用としても使用される。
[編集] 概要
12.7mm×99弾を用いており、全長約145センチ、重量約13kgでセミオート式である。銃口には大きめのマズルブレーキがついている。焼夷弾や徹甲弾などの各種弾頭の使用も可能。その重量により、射撃は伏せて行う(伏射―プローンスタイル)のが通常である。セミオート式のため連続射撃が可能であるが銃口の特大マズルブレーキから発する発砲煙が射手を覆うほど発生してしまうという欠点は有る。
原型のM82は1982年に開発、1986年には改良型のM82A1が開発されている。さらに1987年には先行試作モデルのブルパップ型のM82A2が開発された。M82A1をさらに改良したM82A3も存在する。
大規模なセールスは、1988年のスウェーデン向けが最初である。その後、1990年~1991年の湾岸危機・湾岸戦争の際にアメリカ軍に正式採用されたM82A1M(M82A3-SASR アメリカ海兵隊)(XM107/M107 アメリカ陸軍)。現在の採用国は、ベルギー、デンマーク、フランス、フィンランド、ギリシャなど30ヶ国以上にのぼる。軍(特に特殊部隊)での使用が中心であるが、警察用に採用している(空港警察SWATのハイジャッカー狙撃用―操縦室に立て篭もる犯人を風防ガラス越しに撃って無力化する)ところもある。
威力は絶大で、イラク戦争でアメリカ軍が掃討の際に使用したが、1500メートル先の敵兵を真っ二つにしたという。強力かつ長射程過ぎて警察の射撃場では実射訓練が出来ず、軍の演習場へ持って行くとの事。
これほどの銃でありながらアメリカでは民間人も購入、所持する事が出来る。目的は主にスポーツシューティングであるが、ここ数年のテロへの警戒から規制すべきとの声が上がっている。これに対しバレット社側は「犯行に使用される銃はほとんどが(隠し持つのに適した)拳銃などのコンパクトな物で、自社ライフルは(大きさ、重量から)犯罪に適さないし、犯罪に使用された前例も皆無である」と反論している。社としては、軍への納品分だけでは採算が成り立たないという事情も抱えている。
[編集] バレットM95
M82A1をコストダウンし、重量を軽減したモデル。構造の変更に伴い、作動方式はボルトアクション式を採用。陸上自衛隊に採用されるとの情報もある。