デニス・ビールマン
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デニス・ビールマン(Denise Biellmann, 1962年12月11日 - )は、スイスのフィギュアスケート選手。フィギュアスケートの有名な技の1つであるビールマン・スピン(後述)は、彼女に因んで名付けられたものである。
彼女は競技を始めて8年で最初の国際大会だったベルギー大会で優勝し、11年でアマチュア女子選手権保持者となった。1976年にはヨーロッパ選手権で銀メダルを取った。
彼女はまた、1978年のヨーロッパ選手権大会において、初めてトリプル・ルッツに成功した女子選手と言われている。彼女はスイスフィギュアスケート選手権大会で3度優勝し、1981年にはヨーロッパ選手権及び世界選手権で優勝した。1980年の冬季五輪(レークプラシッドオリンピック)ではフリー演技の部で勝ったものの規定演技の点が及ばす、総合4位に入賞した。
1981年にはローザンヌでのスイスフィギュアスケート選手権大会で3度目の優勝を果たし、インスブルックでのヨーロッパ選手権大会優勝、そしてハートフォードでの世界大会優勝をも果たした。(全てアマチュアリーグのタイトル。)1979年と1981年にはその年のスイスの女子スポーツ選手に選ばれた。
1981年、ビールマンは世界選手権優勝の直後、アマチュア競技から引退した。彼女は引き続きプロとして興行及び競技の両方に出場して国際的なフィギュアスケート界との関係を保ち続けており、それ以来11回の世界大会のタイトルを獲得している。
他方、彼女はラインフィットネスとファッションの事業を始めている。
[編集] ビールマン・スピン
ビールマン・スピンとは、スケート選手が片脚を後方から頭上に伸ばし、両手でそれを保持しながら他の脚でのスピンを行う技である。これは非常に大きな柔軟性とスピンの能力を必要とするため、ほとんど常に女子選手、わけてもある程度高度な身体の柔軟性を持つ選手によって行われる。 日本女子では、トリノオリンピックで金メダルを獲得した荒川静香の他、安藤美姫、中野友加里らが披露している。なお、ワンハンドでのビールマン・スピンを試合で行う選手としては、浅田真央選手が有名である。
海外女子では、イリーナ・スルツカヤ、サーシャ・コーエンらが得意技として有名である。 なお、足を持ち替えて両足でビールマン・スピンを行えるのは世界でスルツカヤ彼女ただ1人である。 また、このスピンを行う最も有名な海外男子は、トリノ五輪金メダリストのエフゲニー・プルシェンコで、日本男子では2006年現在、ジュニアの柴田嶺のみが持ち技としている。
1977年に特徴的なスピンを成功させた、デニス・ビールマンに因んで名付けられたものだが、これを最初に行ったスケート選手は、恐らくは1960年代半ばのタマラ・モスクヴィナである。