タイムマシン (ドラえもんの道具)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タイムマシンは藤子・F・不二雄のSF漫画「ドラえもん」に登場する架空の道具。
目次 |
[編集] 解説
のび太の部屋の机の引き出しの中にあり、時間を自由に行き来することができる。また、時間移動の機能のほか、空間移動の機能も備える。形状はドラえもんの「魔法のじゅうたん型」、ドラミの「時空間チューリップ号」、タイムパトロール専用の「タイムマリン」など色々なタイプがある。「魔法のじゅうたん型」の大きさは高さ2.2m、長さ1.28m、幅1.6m、重量は538kg。ちなみにドラえもんの所有するタイムマシンは中古品のためエンジンの始動に多少時間がかかる。
操縦は比較的容易らしく、後述の音声認識機能が装備される前の手動操作時でも、のび太や静香(『のび太と鉄人兵団』ほか)が操縦したこともある。また、とある殿様(戦国時代の人間?)が誤ってタイムマシンに搭乗し、タイムマシンが勝手に動き出したこともあった。『のび太と鉄人兵団』では、連続ワープで地球外まで移動している。当初は行先の設定を手動で行っていたが、のちに音声認識機能がつき、年代や歴史上の人物名を言うだけでその時代に行けるようになった(『のび太のパラレル西遊記』)。その後、大幅に改造して「時空間ナビ」がつき、ある一定の人物や物などの年代(もしくは次元)に直接向かえるようになっている(『のび太とロボット王国』)。(この映画以降このマシンは旧キャストが出ている間は使用されなかった。)また、故障して制御不能に陥ったタイムマシンに「なんでも操縦機」を取り付けて操縦したこともある。
当初の搭乗可能定員は3人で、『のび太の恐竜』では定員オーバーのために故障したが、のちにアニメ『ぼく、桃太郎のなんなのさ』で改良されて5人搭乗可能となる。座席は操縦者の分が用意されているのみで、他の乗員は構造上、操縦席より後方の板状ボディの上に立つか座るしかない。
時間移動は超空間を通って行い、移動後は現実空間の虚空に穴が空き、これが超空間と現実空間の出入口となる。ドラえもんが初めてのび太のもとへやって来た際は、この出入口がのび太の勉強机の引き出しの中に空いてしまったため、以来、この引き出しがタイムマシンへの搭乗口となっている。そのため、野比家以外の場所にいても、のび太の机を「とりよせバッグ」で取り寄せれば、タイムマシンに乗り込むことができる。
のび太が大人となった時代では、野比家はマンションに引っ越し、野比家のあった場所は公衆便所になったため、タイムマシンの出口は公衆便所の、しかも個室の中になってしまった。(『のび太のおよめさん』)但し後の映画『ドラミちゃん ミニドラSOS!!!』では、のび太の勉強机をそのままノビスケが使っており、ドラミがその時代へやって来たときは、その引き出しから現れた。ドラミがそのマンションの位置へ行くよう、うまく操縦したためと解釈できなくもないが、『のび太のおよめさん』の設定が忘れ去られていたか、もしくはその時代へ現れたドラミが静香と再会するというシチュエーション作りのため、またはドラミに公衆便所のイメージが似合わないための設定変更とも解釈できる。
なお、ドラえもんの世界では、タイムマシンは2008年に発明されることになっている。(TC41巻『未来図書券』)
「魔法のじゅうたん型」はしばらく日本のアニメおよび漫画界において「タイムマシン」の基本形となった。類似例としては「Dr.スランプ」(鳥山明、週刊少年ジャンプ)の「タイムスリッパー」が挙げられる。
[編集] タイムパラドックス
タイムマシンに付き物のタイムパラドックスについてはほとんど言及されていないが、あまりに歴史に大きな影響をおよぼすような行為は「航時法」と呼ばれる法律によって禁止されている。そうした禁止行為のひとつに古代生物の狩猟があり、ハンターとタイムパトロールとのイタチごっこが続いている(『のび太の恐竜』)。といいつつも、のび太とドラえもんは実は何度も軽く歴史を変えている(TC17巻「モアよドードーよ、永遠に」、てんコミ24巻「火災予定報知ベル」など)。そもそもドラえもんがのび太の元へきた動機自体が、のび太のダメ人間振りを矯正して子孫の歴史を変えるためであった(実際にのび太の結婚相手がジャイアンの妹からしずかに変わるなどの歴史改変が発生している)。さらに、のび太が自分の成績をあげるために歴史を変えようとしたが、失敗している(てんコミ33巻「ガッコー仮面登場」)。
しかし主に劇場版において、ドラえもんが未来から現代に存在しなければ世界が破滅していたと考えられる展開が何度もあり(『のび太の海底鬼岩城』『のび太と鉄人兵団 』他)、現代世界で世界が破滅していれば未来の人類の文明も存在せず、ドラえもんも誕生し得ないわけだから、ドラえもんによる軽微な歴史改変も実は、変えてはいけない歴史を変えたのではなく、必然的にそうなるべきだった、という解釈もできる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 劇中での活躍
タイムマシンに関するエピソードとして、『ドラえもんだらけ』(てんとう虫コミックス第5巻に収録)など、以下の作品があげられる。
- 『ぼくを止めるのび太』(てんとう虫コミックス「ドラえもんプラス」第1巻に収録)
- 『月給騒動』(てんとう虫コミックス「ドラえもんプラス」第2巻に収録)
- 『あやうし! ライオン仮面』(てんとう虫コミックス第3巻に収録)
- 『無事故でけがをした話』(てんとう虫コミックス第12巻に収録)
- 『タイムマシンがなくなった』(てんとう虫コミックス第21巻に収録)
- 『ガラパ星から来た男』(てんとう虫コミックス第45巻に収録)
[編集] 時空間チューリップ号
ドラミの持つ高級タイムマシン。その名の通りチューリップの花を模している。開放型の「魔法のじゅうたん型」と異なり、内部に搭乗して操縦する。動力源は太陽エネルギーで、速度は「魔法のじゅうたん型」の3倍、値段は同じく10倍である。高性能タイムセンサーを搭載しており、他のタイムマシンを追跡することも可能。22世紀のドラミの自室にある鏡台の鏡が搭乗口になっている。
セワシも自分用のタイムマシンを持っている。未来ではレンタルサービスも行われているらしく、セワシがドラミにタイムマシンを隠されたため、野球ボールのような形のタイムマシンを借りてのび太たちの時代へ逃げてきたというエピソードもある(大山版アニメ『セワシくんの家出』)。
原作では終始無名で、「チューリップ号」という通称が「ドラえもん百科」(方倉陽二著)に登場したたのち、現在正式名称は「時空間チューリップ号」とされている(わさび版アニメ『のび太くん、さようなら! ドラえもん、未来に帰る…』)。
[編集] 関連項目
[編集] タイムマシンの基本式
エンジン:藤子製作所AF2型 出力:E=1.4×10の8乗 (N)
空間湾曲率:P=12.1×10の2乗 (MKS) 性能疲労率:1/1979(w/s)
バランス・時間加速度:tα=4×gの2乗×C・m/E
E(エネルギー)=m(質量)×c(高速)の2乗 に基づく。