スタイラス
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スタイラス (Stylus) は針のような尖端をもつものを指し、様々な場面で用いられる。
ギリシャ語で柱を表すstulosを語源にもつエトルリア語のstilusから来ている。スタイラスは時代と共に形を変えて来た。19世紀末から20世紀にかけては、蓄音機に音を刻むため、また音を再生するために用いられるようになった。地震計などにも使われている。
- 筆記用具の一種。ステュルスとも。鉄筆とも訳される。針のような尖端を持ち蝋板に文字などを刻むために用いられた。
- 芸術への使用については版画を参照されたい。
- 蓄音機の録音再生をする針、アナログレコードを再生するための針(レコード針)のこと。LPレコードを録音するための装置(カッター)は針というよりも刃を備えている。
- 携帯情報端末などのタッチパネル式の機器を操作する際に用いる細長い棒状の機具である。タッチパネル表面に傷が付いたりしないよう設計されている。この項で詳述する。
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[編集] 概要
携帯情報端末等のタッチパネル内蔵機器に付属されているもので、比較的柔らかい合成樹脂の先端を持つ。形状はペンなどの筆記用具に近いが、ペンなどとは違って、インクを出すなどして筆跡を紙上に残す機構が先端に無い。
タッチパネルでも、小型軽量を持って実用的とする携帯情報端末に在っては、シート状の透明電極を樹脂上にプリントしてある有接点式のマトリクススイッチ(タッチパネル記事参照)を採用して、軽量・省電力化を果たしている。しかしこの方式では、透明電極を組み込んだシートが画面上に張り付いている事になるため、このシートに細かい傷がつくと出力された映像が見辛くなる問題が発生する。
この問題の発生を防ぐには、シートに傷がつかないようにする必要がある訳だが、シートが傷付きにくくなるよう剛性を持たせると、タッチパネルの動作精度を落とす結果になりやすい。このため一定の柔軟性を持たせつつ、表面には傷が付きにくくなるよう、一定の剛性を持たせるという矛盾が発生する事から、必然的にパネル側を改良する事に関しては限界が発生する。
今日では表面を特殊な樹脂で覆うハードコートと呼ばれる加工により強化しているが、いずれも樹脂であるため金属やガラスなどの鋭い先端などで引っ掻くと細かい傷が付く恐れが有る。このため使用する器具がスタイラスである。スタイラスの代用品として、キャップをしたままの筆記用具や、適当な先端を持つ器具(爪楊枝)・更には尖らせた爪等を利用する事も出来るが、専用に設計されたスタイラスとは違い、パネルが傷つく恐れもあるので、それら代用品の利用は推奨されない。
[編集] 構造
スタイラスは先端が、樹脂の中でも特に柔らかいビニール樹脂やプラスチック等で出来ている。その他の部分は、金属製であったりプラスチック製であったりと様々であるが、概ね使用者が使いやすいような形状をしており、また使用する携帯情報端末の機種によっては、様々な素材で作られたスタイラスを、ユーザーの趣味で選ぶ事が出来るように、様々な製品が販売されている。
一般的に携帯情報端末は、アイコンを選択するなどの基本動作は指で行えるが、文字の入力などにおいては、細かい操作を要求されるため、このスタイラスを利用する様式である。このためスタイラスは携帯情報端末を操作する上ではほぼ不可欠であり、携帯情報端末本体と一緒に所持するのが望ましい。結果的にスタイラスは携帯情報端末側面の溝などに取り付けて、一緒に携帯できるようになっているのがほとんどで、この携帯情報端末側の溝に納まるサイズ・形状をしている必要がある。
また携帯情報端末を使用中、誤動作により稀にユーザーの操作を受け付けない状況が発生するが、この「暴走」を止めるため、携帯情報端末にはリセットスイッチが設けられていることが多い。これらは誤操作を防ぐため、一般的に先端の鋭い器具でしか押せないようになっているが、スタイラスの中には、このリセットスイッチを操作するための機構が内蔵されている物がある。
[編集] 特別なスタイラス
その一方で、筆記用具の機能を持つ物も登場、またはペン先を交換する事で、一般的なボールペンをスタイラスとして利用できる製品も登場している。特に筆記用具兼用の物では、ペンとして利用する時はキャップを外して、スタイラスとして利用する時はキャップをしたまま操作するという物である。特にこれらはスタイラスとして利用する事を前提としているため、前出の代用品使用に伴う問題が発生しにくい。
[編集] 関連項目
- Windows CE
- Palm
- 携帯電話
- スティレット
- ニンテンドーDS
- スタイラスプロファイロメータ
- 探針