コムラサキ (蝶)
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コムラサキはタテハチョウ科コムラサキ亜科に属する中型のチョウ。琉球諸島を除くほぼ日本全国に分布する。学名としてはApatura metis substitutaが用いられる。幼虫はヤナギ類を食する。雄の翅の表面は美しい紫色に輝くので、この和名がつけられた。和名は昆虫学者の高千穂宣麿の命名とされる。 飛翔は軽快で、特に午後から夕方にかけ、樹上で活発に活動する。雄雌とも樹液や熟した果実に誘引され、花にはあまり訪れることがない。雄は湿った地面や動物の死骸に集まる習性をもつ。
| コムラサキ | ||||||||||||||||||||
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| 分類 | ||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||
| Apatura metis substituta | ||||||||||||||||||||
| 英名 | ||||||||||||||||||||
| Freyer's purple emperor |
暖地では5月頃から発生し、秋までに1-2回の発生を繰り返す。寒冷地では7月頃に1回の発生。幼虫で越冬し、食樹の樹皮の皺などに密着して晩秋から春までを過ごす。一般に、多化する地域では春の発生個体がやや大型で、地色も暗いなどの季節型が認められる。
遺伝的な多型現象を示すチョウとしても有名で、地色がオレンジ色の個体をしばしば「アカ型」、地色が暗色で明色紋が少ない個体を「クロ型」と呼ぶ。クロ型は静岡県や愛知県、能登半島、九州などに局地的に分布し、紫色の輝きがより強く見えるので、美麗な印象を与える。
国外では東欧からカスピ海にかけて名義タイプ亜種metisが分布し、広大なシベリアには分布の空白があり、日本の近隣地域では沿海州、モンゴル東部、中国東北地方、朝鮮半島に分布する。大陸ではごく近縁のタイリクコムラサキApatura iliaと一緒に分布し、一見分類が難しいが、日本ではタイリクコムラサキの分布が知られていない。古い文献では本種の学名がApatura iliaと書かれていることが多いことからも理解される通り、かつてはタイリクコムラサキの亜種、あるいは型として扱われてきた歴史がある。
コムラサキ、という名称は本種だけを指すのではなく、コムラサキ亜科に分類される他種も含んだ集合的な呼称として使われることもある。また、本種に近縁な他種で、「コムラサキ」の和名がつくものとして、アサクラコムラサキ(台湾)、シラギコムラサキ(朝鮮半島)なども知られる。これらは戦前に日本人が命名使用していた名残として、現在も使われている。
