クリスティアン・リンドベルイ
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クリスティアン・リンドベルイ(Christian Lindberg, 1958年 - )は、スウェーデンのトロンボーン奏者。世界でただ1人、フルタイムのソロ・トロンボーン奏者として成功している人物である。リンドベルイは70曲以上の協奏曲を含む、200曲以上もの作品を初演している。
[編集] 経歴
クリスティアン・リンドベルイはストックホルム出身で、17歳でトロンボーンをはじめるまではバリトンホルンを学んでいた。19歳のときストックホルム王立歌劇場管弦楽団でプロ奏者としての地位を得た。その後、フルタイムのソリストになるための勉強をはじめるため、20歳でそのオーケストラを離れた。
彼は、大学での友人でピアニストであるローランド・ペンティネンと地元の作曲家のヤン・サンドストレムとともに活動を開始した。初期の名声は、サンドストレムの『モーターバイク協奏曲』によってもたらされた。この曲は、モーターバイクの発するすべての音、すなわちエンジンの回転、ギアチェンジ、スキッド等に伴う音を必要とし、そのストーリーは全編トロンボーンを通じて表現される。ソロ活動をはじめたころ、その演奏がスウェーデンのレコードレーベルBISのオーナーであるロベルト・フォン・バールの耳に止まる。最初に、レパートリーの中で最も挑戦的な曲を含む3枚の印象的なアルバムを製作するように要請された。リンドベルイは現在までに60枚以上のCDを製作している。
リンドベルイの楽器の腕前は、トロンボーンという楽器において最上のものである。たとえば、ヴィヴァルディの四季の冬におけるソロ・ヴァイオリンのパートを演奏するとき、驚くべきスピード、正確さ、スタミナ、柔軟性、そして音域などの要素を見出すことが出来る。一方、自身が編曲したプロコフィエフのロメオとジュリエットの『ジュリエットの告別』に代表されるような作品における抒情的な演奏は、それと対極をなすものである。
リンドベルイの名は前衛音楽やその他の舞台公演における演奏によっても知られており、ベリオの『セクエンツァV』、フレデリック・ヘグバーグの『The Ballad of Kit Bones』や『Su ba do be』などをレパートリーとする。クセナキスの「KEREN」を作曲家の指定のテンポで「難なく」吹ききっている音源はリンドベルイのものだけである。この業績を可能にしたリンドベルイは、厚く、暖かく、そしてしばしば速いビブラートをかけるドイツの伝統的奏法を基礎として、自身の「音」を構築した。これこそリンドベルイが、力強く自由な音色を志向するアメリカやイギリスのプレイヤーに比して著しく特徴的な点である。
また、スヴェン=ダヴィット・サンドストレムから作曲を手がけるように説得されたことをきっかけとして、39歳のときに作曲家としての活動をはじめた。初めての自作自演作品であるトロンボーンと弦楽のための音楽『Arabenne』は1997年に録音した。2000年にはイングリッシュ・ノーザン・シンフォニアを振って指揮者デビューも果たした。
[編集] 外部リンク
カテゴリ: トロンボーン奏者 | スウェーデンの演奏家 | 1958年生