キチン
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キチン(chitin)は直鎖型の含窒素多糖で、ムコ多糖の一種。ポリ-β1-4-N-アセチルグルコサミンのこと。語源は古代ギリシアの衣服であったキトン(chiton)に由来し、「包むもの」を意味する。
昆虫など節足動物の外骨格すなわち外皮、軟体動物の殻皮の表面といった多くの無脊椎動物の体表を覆うクチクラや、キノコなど菌類の細胞壁などの重要な成分をなす。
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[編集] 製造法
工業的には主に水産物として漁獲されるカニ類などの甲殻類の殻から得られる。生体内では、タンパク質、カロテノイドなどの色素、カルシウム塩を中心とした無機塩類などと複合した構造体を形成している。このため、塩酸による脱灰工程、アルカリ処理による脱タンパク工程、および、アルコール抽出や漂白法による脱色素工程を経て精製される。
[編集] 構造と特性
構造は、セルロースと類似の構造であるが、2位の水酸基がアセトアミド基になっている。即ち、N-アセチルグルコサミンの1,4-重合物である。分子間、あるいは、分子内で形成される強固な水素結合により、明確なガラス転移点や融点を示さず、加熱により分解する。また、同様の理由により、溶解性に乏しく、単一の有機溶剤には溶解しない。濃塩酸や濃アルカリに可溶であるが、加水分解による大幅な分子量低下を伴う。分子量低下を伴わない溶媒としては、ジメチルアセトアミド/塩化リチウム、メタノール/塩化カルシウム複合溶剤系などがある。中でも前者の溶媒は非水系であるため、誘導体化、ポリマーブレンドなどに有利であり、近年、それらに対する試みや応用が盛んになってきている。
なお、濃アルカリ中での煮沸処理などにより、脱アセチル化が行われ、キトサンを得ることが出来る。
生物資源由来の物質であり、枯渇の恐れが無い、安全性が高い、生物分解性であるなどの特徴をもつ。特に生体において容易に分解し、比較的高い強度と柔軟性を持つことから、手術用縫合糸として利用される。
[編集] 物性
その構造から、セルロースに似た特性を示す。
- 白色無定形粉末または繊維状。
- 各種有機溶剤、希酸、希アルカリに不溶。
- 濃塩酸、濃アルカリに可溶。ただし分子量の低下を伴う。後者の場合アセチル基の脱離も伴う。
[編集] 健康食品
免疫強化、高脂血症の改善などに効果があるといわれるが、ヒトでの効果は十分検証されていないようである。 キチンを酸加水分解して得られるグルコサミンは、アメリカなどで医薬品として認められている。