カネミ油症事件
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カネミ油症事件(かねみゆしょうじけん)とは、1968年に、PCBなどが混入した食用油を摂取した人々に障害等が発生した、主として福岡県を中心とした西日本一帯の健康被害事件。
[編集] 概要
カネミ倉庫で作られた食用油(こめ油)に熱媒体として使用されていたPCB(ポリ塩化ビフェニル)が混入し、それを摂取した人々に、肌の異常、頭痛、肝機能障害などを引き起こした。また、生まれてきた赤ちゃんの皮膚が黒色だったため、全国に衝撃を与えた。また、2002年に厚生労働大臣が、「カネミ油症の原因物質はPCBよりもダイオキシン類の一種であるPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)の可能性が強い」と認めたため、再び注目を集めている。 現在、原因物質はPCDF及びCo-PCBであると確定しており、発症因子としての役割は前者が85%、後者が15%とされている。
全国で1万人以上が被害を訴えたが、認定患者数は約2000人と少ない。被害原因が食用油だったため、家族が同じ物を食べて、被害にあうケースもあったが、その場合でも家族1人だけが被害者に認定されるという、認定の基準が被害者には曖昧なものであった。2004年9月厚生労働省の所管組織である国の「油症治療研究班(九州大学医学部を中心とする研究グループ)」は、新たに血液中のダイオキシン濃度を検査項目に加えた新認定基準を発表した。しかし、出産などによって、すでにダイオキシン類を体外に排出しているケースなどを指摘する声もあり、必ずしも新認定基準が、あまねく被害者を救済することにならないとの指摘もある。また、自然界では、ダイオキシンに曝露したことの影響と見られる生殖器官の異常など動物の奇形も見られ、直接の被害者が男性の場合、精子など遺伝子へのダイオキシン類による被害があっても、親から子へと胎内を通じて直接、子孫に影響があると考えられる女性とちがい、血中のダイオキシン濃度測定だけでは、世代を超えた影響は関知しえないという問題もある。
認定患者においても、裁判を起こし、食用油を製造したカネミ倉庫・PCBを製造した鐘淵化学工業(現・カネカ)・国の三者に勝訴し、多額の金額を受け取ったが最終的に国とカネカは勝訴し、国からは先に受け取った金額の返還を求められ、自殺者を出すにも至った(カネミ倉庫は敗訴、カネカは事実上返還請求していない)。また、事件そのものもなかったこととされ、教科書からも消えたため、特に若い世代には、事件の存在すら殆ど知られていない。被害者たちに残ったのは体内のPCDFやCo-PCBと、仮払い金の返済請求書だけという状況に陥って、現在も次々に襲ってくる様々な病気に苦しんでいる。
定期的に被害者の検査を行っているが、具体的な治療も発見されておらず、被害者からもただのサンプル収集では?との疑問の声も上がっており、認定者の高齢化もあいまって、検査に訪れる人は年々少なくなっている。
またPCBは内分泌攪乱化学物質の疑いがあるため、被害者の子供、その孫にも実質的に被害が及んでいる可能性があるが、先にも述べたとおり、被害者の認定が曖昧なため、実質、どの程度、影響しているのか、調査も進んでいない。
[編集] 関連項目
- ダーク油事件