ウォーロック
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ウォーロックは、社会思想社が1986年12月から1992年3月まで通巻63号発行した、日本初のテーブルトークRPG専門雑誌。また、日本ではほぼ唯一のゲームブック専門誌でもあった。
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[編集] 沿革
- 1986年12月 - 英warlock誌の日本版として創刊。
- 1987年12月 - トンネルズ&トロールズ日本語版発売。その後徐々にテーブルトークRPG中心の誌面構成となる。
- 1988年7月 - 表紙から「THE FIGHTHING FANTASY MAGAZINE」の表記が消える。
- 1991年3月 - 誌面の大幅な刷新。それまで横書きだった文章が縦書きに変わる。それに伴い綴じ方も変更されている。
- 1991年10月 - ウォーハンマー ファンタジーRPGルールブック日本語版発売。
- 1992年3月 - 63号をもって休刊
[編集] 概要
ウォーロックは1984年発売のゲームブック『火吹山の魔法使い』(The Warlock of Firetop Mountain)、1985年の『ソーサリー』シリーズの成功を受けて1986年に英warlock誌の日本版として創刊された。なお、この1986年はドラゴンクエストの発売、月刊コンプティークでのロードス島戦記リプレイ記事の連載開始と日本にとってのファンタジー元年と言うべきに年となった。
同誌の活動の概要を大きく3つの時期にわけて解説を試みる。
[編集] 黎明期
創刊当初はファイティング・ファンタジーシリーズをはじめとするゲームブックのフォロー・レビュー記事を中心に同シリーズのシステムを用いたテーブルトークRPGである「ファイティングファンタジー」への誘導を行っていたが、出版の遅れからこの戦略はゲームブック形式のソロシナリオのラインナップを持つトンネルズ&トロールズが引き継ぐ形となる。
初期は海外の翻訳記事、古代・中世ヨーロッパや日本に関する読み物、ファンタジー要素を持つ映画・小説の批評、雑誌上で完結するミニゲームブックの掲載といった文芸誌的な誌面構成であった。後にグループSNEの中核をなすこととなる面々も、この時期にライターとして活躍していた。
[編集] 絶頂期
ゲームブック専門誌としては低迷期に入り、トンネルズ&トロールズと訳者である清松みゆきを中心としたテーブルトークRPG専門誌となる。初期から続く読み物に加え、初心者にテーブルトークRPGの入門を解説する連載マンガ、半公式となるオプションルールの紹介、誤植の訂正、リプレイ記事、メタルフィギュア・ダイス等のアクセサリーの紹介と誌面構成の完成をみる。反面、単一のゲームを中心とした内容からマンネリ化・楽屋落ちの多用が見られ、古参読者と初心者のギャップが大きい同人誌化への批判が挙がり始める。
[編集] 落日期
タクティクスから創刊したRPGマガジン、ドラゴンマガジンの台頭、コンプRPGの創刊といった独占状態の瓦解。読者層の成年化に伴う、より複雑なゲームへの移行への遅れ。ライター陣の角川書店を中心とした大手出版社への流出から部数を減少。ハイパーT&T、ボードゲームから派生したウォーハンマー ファンタジーRPGの投入も大きな成果を生まず、休刊へと向かった。
[編集] 評価
それまでSFの1ジャンルとして捉えられることが多かった(剣と魔法の)ファンタジーを専門に扱う雑誌として、黎明期に果たした役割は過小評価のしようの無い極めて大きなものである。
[編集] 表紙の変遷
創刊号から13号までは表紙は英Warlock誌で使用された絵を使用している。14号では特集にあわせトンネルズ&トロールズのルールブックの絵が使用されている。
15号以降は全て米田仁士による幻想的なイラストで飾られるが、特集記事の内容や特定のゲームの世界観を表す物はほとんど無い。
[編集] 主な記事と企画
- どこでもT&T
- (7号~10号)
- 作・画共に山本弘による、トンネルズ&トロールズのリプレイ漫画。リプレイ風景とゲーム内世界をザップしながら、主人公イクミとTRPG部の部長や先輩達との掛け合いによって物語が進んでいく。
- 摩由璃の本棚
- (1号~30号)
- 神月摩由璃によるファンタジー・SF小説のブックレビュー。ゲームブックを介してファンタジーやSFに興味を持った読者を対象とした読書案内。取り上げられた主な書籍は『指輪物語』『ナルニア国ものがたり』『エルリック・サーガ』『インテグラル・ツリー』『夏への扉』など。後に社会思想社より文庫化。
- ゲームの殿堂
- (1号~30号)
- 近藤功司によるゲームブック評論。「ゲームブック」という媒体に対する、本格的な批評を目指して作られた。取り上げられた主なゲームブックは『火吹山の魔法使い』『地獄の館』『シャーロックホームズ10の怪事件』『失われた体』など。
- ファイティング・ファンタジーの楽しみ方
- (25号~30号、32号~43号)
- 翻訳者の安田均による、ファイティング・ファンタジーシリーズの構成、システムに関する評論。後に社会思想社より文庫化。
- 「ま」の部屋
- 編集長多摩豊と美人編集者との呼び声の高かった摩由璃嬢の掛け合いで構成される宣伝コーナー。
- 編集部からの挑戦
- 編集部から出される「お題」に解答するコーナー。絶体絶命の状況での対処法やモンスターのアイデアなどRPGに即した問題が多く出題された。
- 読者参加企画『2つの川の物語』に吸収され、終了した。
- ウォーロック・ワールド
- 朱鷺田祐介による、読者投稿を元に(RPGの背景となる)一つの世界を作る企画。この世界で遊ぶための『トンネルズ&トロールズ』用の拡張ルールも作られた。
- 2つの川の物語
- 冒険企画局による、読者参加企画。架空の地域の移住者となって生活する。
[編集] 掲載された主なゲームブック
- 『モンスターの逆襲』
- 作/山本弘とグループSNE
- ゴブリンが強力なモンスターへと変身しながら復讐を遂げていく、モンスター視点によるファンタジー物。3号~6号に、四部作構成で連載。後に社会思想社から文庫化された。
- 『フォボス内乱』
- 作/宮原弥寿子
- アンドロイドの少女の活躍を描くSF物。16号に掲載。後に『ダイモスの攻防』も収録した形で、社会思想社から文庫化された。
- 『ダイモスの攻防』
- 作/宮原弥寿子
- 超能力者達のレジスタンス活動を描くSF物。25号に掲載。
- 『送り雛は瑠璃色の』
- 作/思緒雄二
- 日本の伝承を題材に採った和製ホラー。30号、31号に連載。後に『顔のない村』を収録した形で、社会思想社から文庫化。絶版後は、創土社から再販されている。
- 『ロストワールドからの脱出』
- 作/山本弘
- 野生の少女や黄金のジェット機が登場する秘境冒険物。39号に掲載。
[編集] 逸話
- 読者の愛称にシャーロック・ホームズ愛好家を意味する「シャーロキアン」をもじった「ウォーロキアン」が提案されたが定着しなかった。
- ライターの清松みゆきをその名前から女性と断定する、というネタが流行した。実際にはもちろん男性である。
- 夭折した漫画家木崎ひろすけは、「薄羽かげろう」のペンネームで本誌の常連投稿者だった。
[編集] 編集長
- 多摩豊 創刊号-33号・35号
- 近藤功司 34号・36号-63号
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- ファイティングファンタジー.com(海外サイト)
- ウォーロック目録
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