ウェンディ・カーロス
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ウェンディ・カーロス (Wendy Carlos, 1939年11月14日 - ) はアメリカ合衆国の作曲家、シンセサイザー奏者。もともとウォルター・カーロス (Walter Carlos) という名の男性であったが、女に性転換したことに伴い、ウェンディと名乗るようになった。
実質デビューとなった「スウィッチト・オン・バッハ」ではモーグ・シンセサイザーを駆使したバッハ作品の演奏で、グレン・グールドも絶賛し、新しいバッハ演奏の規範として一世を風靡した。このアルバムが及ぼした影響は計り知れないものがあり、高橋悠治によるシンセサイザー版のバッハのフーガの技法から、果てはアニメ「コブラ」におけるBGMのオルガン演奏にまで影響を与えたとされている。
また、スタンリー・キューブリック監督による映画時計じかけのオレンジにおける音楽も担当した。
商業的な成功とは別に、新しい音律や微分音への興味も高く、様々な試行の末三つの基本スケールを発案。それぞれ「α・スケール」「β・スケール」「γ・スケール」と名づけられる特殊な調律の音階を発明。これは自身の性転換の体験をもとに、「男でも女でもない存在」を「男」と「女」と同居させることが目的であるという説が最有力である。