はつゆき型護衛艦
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はつゆき型護衛艦 | ||
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要目 | ||
排水量 | 基準排水量()内は、やまゆき以降 | 2,950t(3,050t) |
満載排水量()内は、やまゆき以降 | 4,000t(4,200t) | |
全長 | 130m | |
全幅 | 13.6m | |
深さ | 8.5m | |
吃水 | 4.2m(やまゆき以降は4.4m) | |
機関 | ガスタービンエンジンCOGOG方式 4基2軸推進 | 45,000PS |
速力 | 最大30kt | |
定員 | 195名 | |
武装 | 76mm62口径単装速射砲 | 1門 |
ファランクスCIWS (1・2番艦は後日装備) |
2基 | |
ハープーン対艦ミサイル4連装発射筒 | 2基 | |
シー・スパロー対空ミサイル8連装発射機 | 1基 | |
アスロック8連装発射機1基 | 1基 | |
3連装対潜短魚雷発射管 | 2基 | |
搭載機 | HSS-2B/SH-60J対潜ヘリ | 1機 |
言語 | 表記 | |
日本語 | はつゆき型護衛艦 | |
英語 | HATUYUKI type Destroyer |
はつゆき型護衛艦( - がたごえいかん)は、1982年~1987年に12隻が完成した、海上自衛隊の護衛艦である。オール・ガスタービン機関を採用し、ヘリコプターや各種ミサイルを搭載するなど、欧米のフリゲートと比較しても一流と目される、海上自衛隊に新時代をもたらしたエポック・メイキングな艦と評価できる。
目次 |
[編集] 計画
第4次防衛力整備計画(4次防)を終えた1977年度計画において、海上自衛隊は次代を担う新型護衛艦の整備に迫られた。当時としては、草創期に建造したはるかぜ型護衛艦、あやなみ型護衛艦、むらさめ型護衛艦 (初代)などの退役が間近に迫っており、これらの代艦が必要となっていた。また、このころ海上自衛隊は護衛艦隊を近代化する新たな戦術単位として、いわゆる「八八艦隊」構想を固めていた。これは、ヘリコプター3機を搭載するヘリコプター護衛艦 (DDH) 1隻、艦隊防空に従事するミサイル護衛艦 (DDG) 2隻、ワークホースとしての汎用護衛艦 (DD) 5隻からなる護衛隊群(護衛艦8隻、ヘリコプター8機で『八八』)4個群を整備するもので、その具体化にはDD20隻の新造が必要だった。これがはつゆき型12隻及び、その拡大改良型たるあさぎり型護衛艦8隻である。
計画に当たっては、4次防でラインナップされたものの実現しなかった、3600トン型対艦ミサイル搭載汎用護衛艦 (DDA) 及び、ガスタービン搭載の2500トン型対潜護衛艦(DDK。やまぐも型護衛艦の最終艦「ゆうぐも」にスペックダウンされた)をミックスした艦として構想された。
[編集] 装備
従来の海上自衛隊の護衛艦は対潜一辺倒の装備が特徴であったが、本艦は対潜・対空・対水上にバランス良く対応可能な、オール・パーパスな戦闘艦として計画された。まず対潜用としてHSS-2B(のちSH-60Jに更新)ヘリコプター1機が搭載されたが、これはDDH以外の通常の護衛艦としては初めてである。本機は吊り下げ式ソナーとソノブイシステムを備える有力な機体であった。前投兵器のアスロック (ASROC;Anti-Submarine Rocket) と短魚雷発射管は従来護衛艦の踏襲だが、オランダのコルテノール級、ドイツのブレーメン級など当時盛んに建造された列国の3000トン級フリゲート(いわゆるStandard Frigate)で、アスロックに相当する対潜ミサイルを有した例はなく、本型の重武装ぶりは際立っている。ソナーは従来の艦首装備を廃止、ハル・ソナーとした。
個艦防空用にはシー・スパロー短距離艦対空ミサイルを装備した。海上自衛隊での初採用は「しらね」型DDHだったが、本艦のそれは発射機が軽量化されたNATO式 (NSSMS, NATO Sea Sparrow Missile System) に進化した。またOTOメララ76ミリ単装速射砲も備えたが、これは同じ77年度計画の小型護衛艦 (DE) いしかりとともに初の実戦装備である。さらに1979年度計画の3番艦「みねゆき」からは近接防空火器 (CIWS;Close-In Weapon System) としてファランクス2基を搭載し、1・2番艦にも就役後に後日装備された。
対水上用にはハープーン対艦ミサイルを、いしかりと共に初装備した。従来の海上自衛隊に欠落していた、洋上での長距離対艦船攻撃能力がようやく整備されたことになる。
[編集] 機関
本型の最大の特徴は、海上自衛隊初のオール・ガスタービン推進方式の採用にある。軽量で瞬発性・整備性に優れた航空機転用型ガスタービンの搭載は1970年代後半当時、すでに列国の趨勢となっていた。本艦では英国ロールス・ロイス社製の高速用・巡航用2種を組み合わせたCOGOG方式を採った。護衛艦へのガスタービン採用は、これもまたいしかりと軌を一にしたものだったが、同艦はディーゼルと組み合わせたCODOG方式であり、オール・ガスタービンの採用は本型が自衛艦として初めてである。
[編集] 遍歴
上述のように本型はわずか5年で12隻と量産され、護衛艦としてはちくご型護衛艦DEの11隻を上回る大量建造の記録を樹立した。これには当時、中曽根康弘政権下での軍拡路線と、アメリカからの防衛圧力が少なからず影響したと言えるだろう。
1981年度計画の8番艦「やまゆき」からはフォークランド紛争の戦訓を踏まえ、上部構造物を全鋼化し、抗堪性の向上を図っている。このためにバラストを搭載し、基準排水量は100トン増えて3050トンとなった。また電波妨害装置(ECM)や衛星通信アンテナを追加搭載するなど、逐次近代化を図っている。しかし本型の最大の弱点は、3000トンの艦体にあれもこれも詰め込んだことによる、余裕の無さであった。このため1983年度計画からは排水量を約500トン拡大した、改良型のあさぎり型に移行することとなる。
むらさめ型護衛艦 、たかなみ型護衛艦 といった新時代のDDが就役するにつれ、本型は護衛艦隊を離れ、地方隊に転籍していった。この際に固有搭載ヘリコプターを引き揚げている。また最終艦しまゆきはいち早く、練習艦に艦種変更された。就役から20年を超過し、本型は今後、順次退役してゆくことになるだろう。しかし本型の連続建造は海上自衛隊が一流の「海軍」として列国に伍してゆく契機となった。
[編集] 同型艦
- DD-122 はつゆき 1982年就役
- DD-123 しらゆき 1983年就役
- DD-124 みねゆき 1984年就役
- DD-125 さわゆき 1984年就役
- DD-126 はまゆき 1984年就役
- DD-127 いそゆき 1985年就役
- DD-128 はるゆき 1985年就役
- DD-129 やまゆき 1986年就役
- DD-130 まつゆき 1986年就役
- DD-131 せとゆき 1987年就役
- DD-132 あさゆき 1987年就役
- DD-133 しまゆき 1987年就役 1999年練習艦(TV-3513)
[編集] 登場作品
- 『ゴジラvsビオランテ』 - はつゆき型、日本映画初登場。
- 『ゴジラvsモスラ』 - 架空の護衛艦DD-134 もりゆきが登場。
- 『ゴジラvsスペースゴジラ』 - 国連GフォースにDD-123 しらゆきが参加。
- 『ゴジラvsデストロイア』
- 『ゴジラ×メカゴジラ』
- 『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』
- 『ソリトンの悪魔』 - (アニメ映画)
- 『亡国のイージス』 - (小説)
[編集] 関連項目
護衛艦の型式一覧
DDH ヘリコプター護衛艦 |
13500トン型 しらね型 はるな型 |
DDG ミサイル護衛艦 |
あたご型 こんごう型 はたかぜ型 たちかぜ型 あまつかぜ |
DD 護衛艦 |
5000トン型 たかなみ型 むらさめ型 あさぎり型 はつゆき型 あきづき型 はるかぜ型 ありあけ型 あさかぜ型 |
DDA 多目的護衛艦 |
たかつき型 むらさめ型_(初代) |
DDK 対潜護衛艦 |
みねぐも型 やまぐも型 あやなみ型 |
DE 護衛艦 |
あぶくま型 ゆうばり型 いしかり ちくご型 いすず型 わかば いかづち型 あけぼの あさひ型 |
PF 護衛艦 |
くす型 |
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