いでじゅう!
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『いでじゅう!』は、モリタイシにより2002年より2005年まで週刊少年サンデーに連載されていた漫画。単行本は全13巻。『県立伊手高校柔道部物語・いでじゅう!』というのが正式名称だが、一般的には「いでじゅう!」として親しまれている。主人公とその仲間が猛練習を積み、幾多の実戦を乗り越えて日本一を目指すと言ったありふれた柔道漫画ではなく、主人公たちの何気ない日常を主として描いた「ほのぼのラブギャグ漫画」というのが、作者の信条のようである。舞台となっている伊手高校のモデルは作者自身の母校である三重県立伊勢高等学校であるといわれる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
県下随一の進学校でありながら、同時に柔道でも名高い名門であった伊手高校柔道部だったが、この数年ですっかり廃れてしまい、林田亀太郎たちが入部する頃には部員すらいない状況で、廃部目前であった。引退する3年生から主将に指名された林田は部の再建に努めるが、残された部員たちはスケベ男・皮村、謎多きちょんまげ男・藤原、暴走怪物男・三浦、変態貴公子・東など、問題児ばかり。そして、憧れの人、森桃里を巡る恋の行方はどうなるのか。さらに新入生も入部し、ますます白熱の愛と笑いと涙のほのぼのラブギャグストーリーである。
[編集] 登場人物
[編集] 1年→3年
- 林田亀太郎(はやしだ かめたろう)
- 伊手高校柔道部主将。漫画『柔道バカ一代』から柔道に憧れるようになる。廃部寸前の柔道部の危機を救おうと一人躍起になるが、周りの部員たちのペースに惑わされ、毎日暴れまくっている。また、何かにつけてはネガティヴな妄想に陥りやすく、よく鼻血を出す。皮村曰く「鉄分が足りない」との事。森桃里に片想いしていて、桃里のためには命を投げ出さんとするほどの思いを持つ。父親の髪が薄いせいか髪のことでよく悩んでおり、そのことでよく皮村や藤原に茶化され、よく暴力を振るう。また、同じ柔道部員の東の欲望の対象となっており、様々な意味で哀れむべきキャラである。同世代の桃里と皮村以外からは「部長」と呼ばれている。
- 森桃里(もり ももり)
- 伊手高校柔道部。入学以来高校生活に物足りなさを感じていて、あまり友達とも付き合わず孤独な毎日を送っていた。当初は根暗なキャラに設定されており、唯一心を開ける親友が綾川苺だけという何とも寂しい状態だった。お笑いが大好きで、小さい頃は部屋で1人で漫才のビデオを鑑賞していたにすぎなかったが、その日常風景だけで既にお笑いのレベルである柔道部に惹かれ、入部。明るく何事にも積極的なキャラに転換する。実家はラーメン屋で、元プロレスラーを父親に持つという異色の肩書きを持つ。父親に鍛えられたため、運動神経は抜群。パンダに目がない。視力が悪く、コンタクトが無いと何も見えない。母親とは、桃里が中学生の時死別。藤原からは「モリモリ」と呼ばれている。
- 皮村薫(かわむら かおる)
- 伊手高校柔道部。基本的にスケベキャラ。女子のスカートめくりは当然の事、時には胸を触ったり盗撮も試みるという度を越えた行為を行う。桃里にも時たまちょっかいを出すが、そのたびに桃里を悪の手から守らんとする林田の鉄拳制裁を喰らう。しかし、一方では林田の純愛をサポートし、林田の恋を成就させるためにあれこれいい雰囲気を作ろうと四苦八苦するなど、人情味溢れるキャラである。また、中山朔美の林田への感情を知って、いろいろ気を回す。よく性格(人格)が変わる柔道部員の中で、一人安定している。途中、同期生・佐藤ちえの好意を受けるという絶好の恋愛成就の機会を得るも、そのチャンスを2度も逃した、自業自得ながらも不遇のキャラである。
- 藤原虎呂助(ふじわら ころすけ)
- 伊手高校柔道部。高校生活に不満を感じ、一時は退学も心に決めたが、何事にも一途に取り組む林田の熱血さに惹かれ、柔道部に入部する。女性言葉をよく使う、いわゆるオネエ系キャラ。非常に高度な人格が形成されており、時たま世の中を達観したようなものの言い方をし、部員たちから尊敬の眼差しで見られたりもするが、林田をちゃかして暴力をうけたりと、あどけなさも見せたりする。ちょんまげ頭で、髪には別の人格を持つチョメジを飼って(?)いる。このチョメジの正体が何者なのかは不明。このチョメジを使って空が飛べたり物をつかめたり、催眠術が使えたりと非常に特色あるキャラで、影の主人公的な役割も果たしている。普段は太っているが、体力を激しく消耗したり体調が悪いと極度に痩せて美形になる。東と綾川苺とチョメジからは「コロスケ」と呼ばれている。成績はかなり良いらしく、作中でも『本気を出せばいつでも一位が取れる』と供述している。
- 三浦単一(みうら たんいち)
- 伊手高校柔道部。人間離れした体格を持つ。頭部だけで通常の人間の2倍以上あるのではないかと思われるが、脳みその大きさはそれほど通常の人間と変わらないようである。手はドラえもんのように指が見られず、ほぼグーの状態。非常に無口であり言葉は全部カタカナで、フキダシ外。普段は優しいが、寝起きは機嫌が悪く、睡眠を妨害すると暴れまくり、多大な損害をもたらす。唯一綾川苺によって安全に起こされていたが、新入生・中山朔美によっても安全に起きたりした。綾川苺に気に入られ、毎日背中(というより頭)に乗られて歩いている。自分のペースでゆっくりと生きていて、その顔をみるだけでほのぼのとした感じが伝わってくる。綾川苺と藤原からは「ミウミウ」と呼ばれており、他の部員たちからは「ミウラさん」と、同期生なのになぜかさんづけで呼ばれている。
- 東菊千代(あずま きくちよ)
- 伊手高校柔道部。美男子好きの変態貴公子。当初は寝技の時だけしか出現しなかったが、途中からすっかり部の一員として定着した。自身のなかにリビドーを持っており、このリビドーが頂点に達すると自分でも抑えられない感情が露出し、行動に表れる。「フォー!」と叫び、林田を裸にしてどこかへ連れ去った場面は少年誌においてはどうなのかという反響が出たのか、後に見られなくなった。元々は美男子全員が欲望のターゲットだったが、後にほぼ林田に特化するようになった。小さい頃、美人だが性格のきつい姉2人にアイドル養成と称するスパルタ訓練を受け、そのトラウマから男を好むようになったらしい。後にアイドルになったせいか、出番が減った。藤原からは「菊」と呼ばれている。
- 綾川苺(あやかわ いちご)
- 伊手高校柔道部。実家が大金持ちの絵に描いたようなお嬢様像の持ち主。中学時代はイジメを受け一人ぼっちで辛い学校生活を送っていたが、転校生としてクラスメイトになった桃里の協力を得てイジメを跳ね返し、性格も明るくなった。。自分を「あたち」と読んだり言葉尻に「~だョ」をつけるなど、ロリータ系。入学当初は複数の部を掛け持ちしていたが、三浦に惹かれ、柔道部一筋になった。毎日三浦の背中に乗って学校生活を過ごしている。進級に伴い、晴れて三浦と一緒のクラスになった。はでな服が好きで、柔道着を着るのが嫌で柔道をせずマネージャー的な存在だったが、後に桃里と共に柔道をやるようになった。また、同じく三浦を狙う恋敵・三橋麻彩の刺激を受け、三浦に直接口付けしたため、意外にも柔道部の中では一番初めに「恋愛」といえる関係を構築している。桃里からは「ベリ子」、林田と皮村からは「ベリちゃん」、藤原からは「お嬢」と、様々な呼ばれ名の持ち主であるが、肝心の三浦からはまだ一度も名前を呼んでもらったことがない。
- チョメジ
- 藤原の頭部に生息している。本名(?)はチョンメイジ(ちょんまげ-Chonmageから?)。髪の毛だが、一概にも言えず正体は不明。連載当初は藤原と同じような言葉を喋っていて藤原の分身扱いだったが、途中から侍言葉になり、別人格として仁義に熱い男(?)として定着した。記憶喪失になり、失踪騒ぎを起こすも部員に見つけられ、連れ戻される奇特な経験を持つ。恋愛とは何か、人生とは何かなど非常に高度なイデオロギーを持っており、ちょんまげに高校生が感動させられるという何とも滑稽な風景が笑いを誘う。好物は鬢付け油。松田優作がドラマで使っていた探偵服を好み、事あるごとに着こなすようになった。ちょんまげなので水が苦手。また、藤原が痩せると赤ん坊状態になり、普段の力が発揮できない。桃里の一案でその時の状態は「チョベビ」と呼ばれるようになった。読者に高い人気があり、読者の投票におけるキャラのアンケートで、アンケート用の項目がなかったにもかかわらず藤原を抜いて3位になった。
[編集] 新1年→2年
- 中山朔美(なかやま さくみ)
- 伊手高校柔道部で林田たちの1年後輩。林田が中学の時の剣道部の後輩だったが、林田を追って柔道部に入部した。林田に密かな恋心を抱いており、友人たちに応援されるも、なかなか勇気を持って本心を打ち明けられない。そのキュートな姿が読者の心をくすぐり、人気が高かった。
- 愚地よしお(おろち よしお)
- 伊手高校柔道部で林田たちの1年後輩。あまりにも姓がいかついため、両親が中和しようとひらがなで「よしお」と命名した。本人は「おろち」と呼ばれたがっていたが、途中から「よっしー」という呼び名で定着。藤原からは「よしお」と呼び捨てされている。目はメガネを外すと3になり、怒ると口が8になる。恐ろしく非力だが、キレやすい。柔道好き・熱血タイプというところから、林田と気が合う。
- 春迫乙蔵(はるさこ いつぞう)
- 伊手高校柔道部で林田たちの1年後輩。非常に恵まれた体格の持ち主で、よく頭を壁にぶつけ、ひたいに大きな傷ができてしまった。中山朔美のいとこにあたる。ファンシーなものが密かに大好きだが、他人にバカにされると暴れまくる。よく物を壊して停学処分を喰らっていたが、後によしおとの凸凹コンビでいい味を出していた。