あおいちゃんパニック!
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[編集] 概要
「なかよし」に、1983年2月号から翌1984年7月号まで連載された。内容は、もし、宇宙人が地球で暮らしたらということを想定したソフト?SFコメディである。
著者の出世作であり、当時の少女漫画家の卵たちに多大な影響を与えることとなる。
単行本は講談社KCなかよし版・宙出版ミッシィコミックスDX版・メディアファクトリーMF文庫版の3種類存在するが2003年9月末時点で全て絶版となっている。
[編集] 主要登場人物
- 早川あおい
- 森村ひろし
- 準主人公。ごく普通の中学生。早川あおいに淡い恋心をいだく。作品自体は彼の視点から展開する。妹がひとりいて、1コマのみ登場した。
- 高橋みどり
- 森村くんの友人でしっかり者の女の子。おさげとそばかすが特徴。山崎たかしの幼なじみで彼の世話をやいている。
- 山崎たかし
- 岡崎あきら
- 前髪が額にかかるヘアスタイルが特徴的な、自他共に二枚目と認めているように見受けられる少年。諸星あたる的な性格で、女の子に声をかけることに人生をかけている。
- トート
- フルネームは、トート・トクタプ・タータの2。金髪でハンサムな少年。むこうの星では、ヌート邸のとなりにすんでいた。性格は、岡崎あきらとほぼ同じであるが、浮き沈みがはげしいところに特徴がある。チャチャ(早川あおい)が好きだった。
- あおいのパパ
- ヒューマノイド(ヒト)タイプのハンサムな宇宙人。容姿は地球人と変わらない。本名は、ヌート=モチャノチャ=トメルの3(モチャノチャ家のトメルの第3子ヌート)。空飛ぶ円盤(通称「くるま」)で通勤している。
- あおいのママ
- 早川ひろこ。ヌート=モチャノチャ氏の惑星では、ヒロコ=モチャノチャ=ヌートのサイ(モチャノチャ家のヌートの妻ひろこ)と呼ばれている。
- ムーニーさん
- ワシ型の容姿をもつ宇宙人。人語を解し、会話も出来る。早川あおいのじいや兼教育係。
- マメミム
- あおいのいとこで友人。トマト氏の末娘。フルネームは、マメミム=モチャノチャ=トマトの7。三つ子姉妹の3番目。さらに4つ子の兄姉がいる。彼女の三つ子の姉にアルケ=M=トマトの5とナネニ=M=トマトの6がいる。命名は発声練習の際の文言(「マメミムメモマモ」)から。
- トーオリ先生
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] あおいの父方の故郷、ヌート=モチャノチャ氏の惑星の環境、文化、習慣
[編集] 環境
- とにかく高重力。その重力は2Gとも10Gともいわれる。そのため、住民は地球人よりも体が頑丈にできている。彼らが地球に来ることは、地球人が月に行った時同様に重力の影響を受ける。
- 地球からは、通常の通勤距離にはない遠い星である。
- 地球にくらべて「都会」(地球は「いなか」)であって「ヒト」タイプ以外の宇宙人も暮らしている。トカゲ型のトプシド、植物型のポポパイポ、トロール型のディルディル、魚型のトンビナイ魚、火星人型など。
[編集] 文化、習慣等
- 服のボタンは電池式である。
- 言葉は、V,P,Yの子音を多く使用する言語である。
- 医療薬などは、地球のような飲み薬ではなく、基本的に噴霧式である。携帯用カプセルと噴霧器がある。
- 火星人型が「ハンサム」「美男子」とみなされるように地球と美的感覚が異なる部分がある。
- 入浴は空気につかることを意味する。
- 「いっしょに絵をかこう」という言葉か、いっしょに絵を描く行為がプロポーズになる。ただし、直接好きである旨意志も伝えることも可能。
- 一般人は、自家用車としてアダムスキー型の円盤を使用している。円盤は、お休み運転機構つきでモータのスイッチが入っていると障害物と動くものを避けて自動運転する。運転には免許制度があり、未成年は運転できない。宇宙の「バス」(葉巻型の円盤)路線が通っている。
- この惑星の住民は、ひそかに地球、さらに日本に訪れている。そのため地球原産の菓子として柿ピーが知られている。また、この星の人々の好物はピーナッツであり、ヌート氏は、卒論テーマに「地球産落花生の流通マージンに関する一考察」を選んだ。
- 地球語の教材テープを作成している会社が複数ある。うち、ニコニコ社のものは、「~である。」調を教えるため、評判がよくない(第3巻)。
- 科学技術は進んでいるが、「ファーストネーム=家名=父親の第何子」という名前に反映されるように、住民の考え方には、家父長制なところがあり、未成年は親にしたがわなければならない、親の決めた縁談には逆らいがたいという感覚が生きている。
- 記憶をなくす薬、低重力星での「力を抑える薬」、「力を元に戻す薬」がある。「力を抑える薬」には、地球人にとっては、眠気をもよおす副作用がある。
- 地球人の文化、慣習については、あいさつにキスをすること、ポップコーンを食べながら映画をみたあと、チョコレートパフェを食べながら映画について語るのが地球の楽しみとして伝わっている。
- 小学校には運動会がある。
[編集] あらすじ
基本的に作者の執筆傾向から数話読み切り連作になっている。森村たちの中2三学期から高1になる1年半の物語である。以下にコミックス1巻のあらすじを載せる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
森村ひろしは、某私立中高一貫教育校中等部の2年生。ある土曜日に原因不明の頭痛になやまされていた。彼には、金曜日の記憶がとんでいることと「ミナミサカエサンチョーメ」という言葉に反応して頭痛がすることに不審に思っていた。そしてかわいい転入生の早川あおいが異常に自分をさけることも気になっていた。ある日、彼は友人たちと、道路に飛び出した子犬を彼女が驚異的な跳躍力で救い出すのを見て驚くが、口止めされる。友人の一人岡崎あきらの提案で、仲良しグループの高橋みどり、山崎たかしとともに早川あおいをさそって映画を見に行くが、その帰り道によった喫茶店で、中等部の教頭とテスト業者が話しているのを目撃してしまう。早川あおいの超人的な聴力で校長や教頭がテスト業者からのリベートを受け取っていたことを知ってしまう。高橋みどりは、何とかして証拠をつかみたいと仲間たちにさそいをかけ、森村ひろしは、校長室にしのびこむのだった。ところで、早川あおいは、父の故郷が高重力の惑星だったため、体育のソフトボールで、(自衛隊機を墜落させる原因をつくるような)ホームランを放つなど、スポーツ万能少女として運動部から総スカウトを受け、追いかけられていた。校長に見つかりまいと隠れた掃除ロッカーにかくれた森村ひろしは、運動部からのがれた早川あおいとロッカーに閉じこめられてしまう。そこで今度は、体育館の寄附金使い込みを糊塗するための二重帳簿を発見してしまうのだった。森村、高橋、山崎、岡崎に加えて早川あおいの仲良しグループは、この二重帳簿を手に入れるために校長室にしのびこむがみつかってしまう。せっかく手に入れた帳簿もとりあげられるが、早川あおいが時速60kmで走る校長たちの車をおいかけ帳簿をとりかえす。校長たちは、驚いて事故を起こして…入院中になる。
森村、高橋、山崎、岡崎の4人組は、早川あおいが高重力星の宇宙人の父親と地球人の母親のハーフであること、森村ひろしの頭痛の原因は、早川一家の引っ越しの際に道を教えた彼の記憶を消すために吹きかけられた薬のせいだったことを知る。
中学三年になって5人は同じクラスになるが、休暇を利用して地球にチャチャ(早川あおい)をたずねてきたトートにであう。トートの性格は、女の子に声をかけまくる岡崎にそっくりであきれる森村ひろしと高橋みどり。休暇の間、トートは、早川家にくらすことになり、あおいは、学校にまでつきまとうトートの行動とトートをかばう親と浮き沈みの激しい彼の性格になやまされるのだった。ところでトートは無免許で「空飛ぶ円盤」を運転してきて、近くの駐車場にとめていたために駐車料金を払わされる森村たち。結局父親タータ=トクタプ氏が迎えに来て彼は星へ帰っていった。
ところであおいにとって、低重力の地球は、アポロ宇宙飛行士が月でジャンプしたようにちょっとつまずくとバッタのように飛び跳ねてしまうという悩みがあった。これをなんとかできないかと親たちに相談する。父親であるヌート氏は、おもり付きのベストを彼女に着せることにした。しかし、飛び跳ねないことに関しては解決したものの、走ると慣性がついてしまい、森村たち友人を押し倒したり、体育の時間にトラックを普通に曲がれず直進したまま止まれなかったり、学校の備品を壊したり、床をぶち割ったり、誤って足を踏んだ人にけがをさせてしまう。やむをえず父親は、あおいには副作用があるので使用をためらってきた低重力星で自分が使用する薬を飲むことを提案する。その副作用とは、ヌート本人にはなんともないが、地球人の血の流れるあおいにとっては強力な眠気を断続的にもよおすというものだった。あんのじょう授業中に黒板で計算しているときにねてみたり、横断歩道のど真ん中でねてみたりと「眠り姫」ぶりを「発揮」するあおい。そのたびに森村たちは走り回らされるのだった。 ところで、仲間たちで、あそびにいったとき、デパート(家電店?)のテレビに見覚えのある円盤が映っているのを森村たちとあおいは見てしまう。実は、あおいの小学校時代の恩師トーオリが地球に植物採集をかねて遊びに来た際に「くるま」の調子がおかしくなり山のなかに不時着したので、早川家(ヌート=モチャノチャ邸)に修理部品をもってきてくれるよう連絡をしてきたのだった。
- トーオリ先生のおみやげの観葉植物フワフワが、蛇口の故障で水を吸って劇的に増えてしまい、早川邸は...
- 写生会の際に降ったにわか雨でフワフワが劇的に増えてしまって...
- 「絵を描くの手伝おうか」と言う言葉を父方の郷里の星の言葉に直訳してプロポーズとあおいが思い込んで...
- 芸能レポーター志望の少年秋本あきおにおいかけられ、必死にあおいのことを隠そうとする森村たち。
- 「力を抑える薬」と「風邪薬」で寝たきりになったあおいをおこすために、トマト医師は特効薬をとりだしたはいいものの...
- 大病院星のぐうたら息子との結婚話がいやで家出をしたあおいのいとこマメミムをかくまう山崎家と森村たち、おいかけて連れ戻そうとする伯父のトマトと宇宙の私立探偵たち。
- あおいパパ(ヌート=モチャノチャ氏)とあおいママ(早川ひろ子)のなれそめ物語。
- 猫もどき宇宙人(?)「きぴきゃぴ」との戦い?と和解?
[編集] 外部リンク
- Izumi Takemoto Character’s Guide(バックが第3巻登場の「きぴきゃぴ」になっている。)
- あおいちゃんパニック!(登場人物の詳細な紹介や設定についての詳細な説明あり。)